会社の役員に何かしらの変更がある場合は、その都度変更登記の手続きを行わなければなりません。
自分ですべて行うのであれば、どのような書類が要るのか?また書類の取得方法や作成の仕方まで、きちんと把握しておきましょう。
本ページでは役員変更登記時に揃える書類の取得方法や作成方法、また登記申請のやり方なども分かりやすく解説していきます。
役員変更登記手続きはどのような場面で必要?
会社役員の変更手続きは、主に『就任(新任)する・辞任(退任)する・重任(再任)する』時に行ないます。これを踏まえて、具体的にどのような場面で必要なのかを一覧でまとめました。
代表取締役や役員が新任(就任)した時
代表取締役や役員を交代、既存の役員が代表取締役に新任(就任)した時などには、役員変更の登記を行ないます。監査役に新任(就任)した場合も同様です。
役員が任期途中で辞任する時
役員が任期を終える途中で、自ら辞任する時も役員変更登記のタイミングです。
役員が任期満了後に退任する時
任期を全うしてそのまま退任する時も、必ず役員変更登記を行ないます。
役員が退任後、重任(再任)した時
任期満了後に退任した後も、同じ役員を重任(再任とも言います)する場合も、忘れずに役員変更登記を行ないましょう。
役員を増員する時
監査役や社外の取締役など役員や役職を増やす時も、役員変更登記を行います。
代表取締役が亡くなった時
代表取締役が亡くなった時は役員変更登記を行ない、既に登記している内容から変更します。
代表取締役の住所が変わった時
代表取締役の住所が変わった場合も、登記内容を変えなければならないので役員変更登記を行ないます。
住所だけでなく、登記している代表取締役の情報が変われば必ず役員変更の登記手続きを行わなければなりません。
役員変更登記に必要な書類の詳細と取得・作成方法
続いて、役員変更登記にはどのような書類が必要なのでしょうか。書類ごとに詳細を説明するとともに、取得・作成方法も簡単にまとめましたので参考にしてください。
役員変更登記申請書(共通して必要)
就任(新任)・辞任(退任)・重任(再任)する時にかかわらず、すべての変更登記手続き時に必要です。
申請書は、法務局の商業・法人登記の申請書様式からダウンロードして印刷が可能です。
株式会社・特例有限会社・持分会社・NPO法人・一般社団、一般財団法人など会社の形態によって様式が異なるので、間違わないように注意してください。
株主総会議事録・株主リスト(辞任・死亡時以外に必要)
株主総会議事録は株主総会を設置している会社で、役員が就任(新任)・退任・重任(再任)する際は作成して提出しなければなりません。任期の途中で辞任したり、役員が死亡して退任する時などは不要です。
また、株主の氏名・住所が記載された株主リストは株主総会議事録とセットで添付してください。会社の実印も忘れずに押します。
Point!取締役会設置の会社なら取締役会議事録
取締役会を設置している会社ならば、株主総会議事録の代わりに取締役会議事録を作成して用意します。
就任承諾書(新たに就任する場合)
就任承諾書は、新たに就任することを承諾・同意したことを証明する書類です。新しい人が代表取締役・監査役・取締役に就任する場合は、その人の実印が必要です。
印鑑証明書(新たに就任する場合)
新たに就任する際、個人の実印を押した就任承諾書を提出する場合に合わせて用意するのが、この印鑑証明書です。実印を押した書類には必ず添付する書類、と覚えておけば確実です。
運転免許証や住民票などの本人確認書類(新たに就任する場合)
新たに就任する場合は、運転免許証のコピーや住民票の写しなど本人確認書類も用意しましょう。
承諾書や印鑑証明書だけでなく架空の人物が就任するのでは無いことを示すために必要で、平成27年の商業登記規則が改正された以降に求められるようになりました。
発行から3ヵ月以内のもの等の指定はありません。任期満了後に退任して重任(再任)する際は、不要です。
Point!「原本と相違がない」記載も必要
運転免許証や住民票などの本人確認書類は、原本では無くてコピーを提出します。その際に「原本と相違がない」と記載して、かつ署名・押印しておきましょう。
辞任届(任期の途中で辞任する場合)
任期の途中で自ら辞任する場合は、必ず辞任届が必要です。特定の様式は無いので、辞任する日付と会社名・氏名・辞任届を作成した年月日を記載して作成しましょう。
押印については、氏名を自署すれば不要とされていますが、押した方が確実です。
定款(任期満了後に再任する場合)
役員が任期満了後に重任(再任)する場合は、定款も添付します。この事実が取締役の互選であることを証明するために必要です。また何らかの事情で解任された時にも添付します。
役員変更登記を自分で申請する方法/流れ
役員変更の登記手続きがどのタイミングで必要で、用意すべき書類が分かりました。この章では実際に役員変更登記を自分で申請する方法を分かりやすく説明します。
新しい人が就任したり、任期満了に伴って退任・もしくは重任(再任)する場合には必ず株主総会を開いて株主間で役員変更について決議しなければなりません。
突発的な退任・解任時は、臨時で株主総会を開いて決議します。その時々で判断して開催してください。
Point!役員の死亡時は不要
代表取締役や各取締役が死亡した時は、役員変更登記のみ必要で、株主総会の開催・決議は不要です。変更登記申請書と死亡届の提出のみで受理されます。
役員変更登記申請書をダウンロードして、記載しましょう。役員変更登記申請書は必ず必要になるので、まず最初に作成すると忘れずに済みます。
そのほかに、株主総会で決議されれば株主総会議事録と株主リストを、新たに就任する場合は就任承諾書や印鑑証明書・本人確認書類のコピー、辞任時なら辞任届など必要な書類を準備していきます。
役員変更登記を行う場合にも、登録免許税を支払わなければなりません。
金額については次章で後述しますが、必要な金額分の収入印紙を購入して役員変更登記申請書に貼り付けてください。
必要書類をすべて揃えたら、会社の住所を管轄している法務局へ役員変更登記の申請手続きを行ないましょう。
申請手続きには、下記3つの方法があります。
- 法務局に直接持参して提出する
- 法務局に郵送する
- オンラインで申請する
Point!申請手続き後は1週間~10日で登記が完了する
どの方法で申請手続きしても、実際に登記手続きが完了するのに約1週間~10日ほどかかります。
また、緊急事態宣言が出た場合には、登記完了が遅延することもあるようです。申請する法務局のホームページにアクセスして、最新の完了予定日を調べておくとよいでしょう。
登記完了予定日は、各法務局のホームページで確認することができす。
役員変更登記の申請はいつまでに行うのが良い?
役員変更登記の申請手続きは、必ず2週間以内に行なってください。株主総会を開く場合は決議された日から2週間以内です。
必要書類などを準備・作成していたら2週間はあっという間に過ぎてしまうので、注意が必要です。
申請期日を過ぎると罰金が科せられることも
この2週間以内の期限を守らなければ、100万円以下の罰金が科せられることもあります。1・2日程度なら過ぎても良いだろう、という発想は危険です。
注意!株式会社なら最後の登記から12年間経過すれば休眠会社になる
役員変更の登記手続きを怠って最終の登記日から12年間何も変更されないと、株式会社は休眠会社として判断されます。
会社が継続しているならば、その旨を届け出ないことには登記上”廃業”扱いになってしまいます。
休眠会社・休眠一般法人とは
法務省:休眠会社・休眠一般法人の整理作業について
(1) 休眠会社:最後の登記から12年を経過している株式会社
12年間何も変更する事項が無いことはあり得ないので、変更の事実があれば2週間以内に忘れずに申請手続きしましょう。
役員変更登記を自分で行う時の費用は?
役員変更登記を自分で行なった場合に、かかる費用について見ていきましょう。
登録免許税1万円or3万円
役員変更登記時には、登録免許税が1万円もしくは3万円かかります。この金額の違いは、会社の資本金の金額です。
- 資本金が1億円以下:1万円
- 資本金が1億円以上:3万円
この登録免許税が、最低限かかる費用です。
Point!就任・辞任・再任が重なれば一括申請してコスト削減!
上記の登録免許税1万円・3万円は、1件あたりの金額です。1回で1件しか申請できないなどの決まりは無いので、就任・辞任・退任が重なる時は一括で申請しましょう。
例えば、Aさんが新たに就任/Bさんが任期満了に伴い退任するなどという場合は1枚の申請書に『取締役Aが就任、同日Bが任期満了で退任』等、これらの事項をすべて記入します。
複数の事項が書いてあっても1件としてみなされるため、1万円の登録免許税のみで済みます。
書類の発行手数料や郵送費・交通費などの雑費
自分で申請を行うと、書類を発行する手数料や法務局へ郵送する切手代(郵送費)・法務局へ行く時の交通費などが雑費として発生します。
書類の発行手数料とは、例えば印鑑証明書です。1通300円の手数料がかかります。
役員変更登記を自分で行う際のメリットとデメリット
役員変更登記を自分で行う時の、メリット・デメリットをそれぞれまとめました。
メリット
- かかる費用が最低限で済む
費用を最低限で抑えることができる点は、自分で行う一番大きなメリットと言えます。登録免許税の他に雑費もかかりますが必要最小限で済みます。できるだけコストを抑えたいなら最適な方法です。
デメリット
- 必要書類をすべて作成、揃えるのが大変
- 時間と手間がかかる
- オンライン申請は慣れた人でないと難しい
デメリットは、手間と時間がかかることです。変更事項によって揃える書類も違いますし、直接持参、郵送のいずれであっても、すべてまとめて提出しなければならず、抜けなく準備する必要があります。
またオンラインでの申請ならソフトのインストールが必要です。パソコンに詳しくないと難しいでしょう。
役員変更登記を司法書士などの専門家に依頼するのも手
自分で役員変更登記を行うとなると、コストは確かに抑えることができます。
しかし就任・辞任・再任時でそれぞれ必要な書類がすべて異なり、全書類を完璧に作成して用意しなければ受理されず変更登記は無事に完了しません。
そのため、司法書士などの専門家に依頼するのも一つの方法です。すべて司法書士に任せるので費用は割高になりますが、手間と時間を大幅に削減できます。
役員変更自体が頻繁に起こることでは無いので、確実にスピーディに申請できるのであれば費用もそこまで高額とは言えないのではと思います。
「GVA法人登記」なら必要書類を手早く作成できて安い!
役員変更登記手続きは、書類の作成が難関です。司法書士に依頼するのはちょっと‥と躊躇っている人は、「GVA法人登記」を利用してみてはいかがでしょうか。
「GVA法人登記」は役員変更登記の書類を自動で作成してくれるサービスで、オプションを付ければ郵送用の封筒の同封・登記完了後の履歴事項全部証明書も送付してくれます。
費用も1万円+税と格安ですし、検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
役員変更登記の必要書類をもう一度おさらいしておきましょう。
<共通して必要>
- 役員変更登記申請書
<新任(就任)時に必要>
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 本人確認書類のコピー(原本と相違がない旨を記載・押印)
<退任・解任時に必要>
- 株主総会議事録
- 株主リスト
<辞任時に必要>
- 辞任届
<重任(再任)時に必要>
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 定款
<死亡時に必要>
- 死亡届
役員に変更の事実があった場合は速やかに株主総会で決議し、必要書類を揃えて2週間以内に忘れずに変更登記の申請手続きを行なってください。
申請方法はオンラインで行なうよりも、法務局に直接行った方が職員とも相談し合えるので無駄がありません。また「GVA法人登記」で確実に書類を作成して、持参するのも良いでしょう。
手間や時間・予算など、メリットデメリットを両方考えた上で申請して頂ければと思います。
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