本店を移転する際には、登記の手続きの他に「登録免許税」という税金を支払う必要があります。
本ページでは、本店移転の登記を行う際に登録免許税がいくらかかるのかを解説します。またどのように申請するのかも方法別に簡単に説明するので、スムーズな登記手続きのお役に立てば幸いです。
本店移転登記の登録免許税はいくら?
本店移転登記を行う際に必ず支払わなければならない登録免許税は一体いくら支払うのか?管轄内・管轄外の移転それぞれで確認していきましょう。
管轄内での移転の場合は3万円
管轄内で移転する場合の登録免許税は、3万円です。これは全国一律で決められている金額です。
本店又は支店の移転の登記
No.7191登録免許税の税額表
本店又は支店の数 1箇所につき3万円
管轄外への移転の場合は6万円
では、管轄外へ移転する場合はいくら支払うのでしょうか。答えは、6万円です。
今までの住所を管轄していた法務局と新しい移転先の法務局の2ヶ所にそれぞれ3万円ずつ支払うため、3万円×2ヶ所分=6万円となります。
東京都の場合、都内でも区が変わると管轄外に!
基本的に同じ市内・区内間で移転するのであれば、管轄内移転です。しかし東京都は、都内で合っても区をまたいでの移転だと”管轄外”になるので注意してください。
管轄につきましては、東京法務局/管轄区域一覧で確認しましょう。
東京都以外の方は、管轄のご案内|法務局で、該当の都道府県をクリックして移転前後の管轄する法務局を調べましょう。
管轄外への本店移転時は必ず定款も変更する
本店移転登記をする際に、管轄外へ移転する場合は定款も必ず変更してください。
定款の本店住所が<〇〇市△△区に置く>と記載されている場合、△△区以外の区に移転すれば定款の記載も変える必要があるからです。
定款の変更が必要無い場合
ちなみに定款を変更する必要が無い場合もあります。
例えば定款の本店住所が<〇〇市△△区に置く>までの記載ならば、△△区内に移転する場合、丁や番地が変わるだけであれば定款もそのまま変更しなくても問題ありません。
1丁目1番地など番地まですべて記載されているのなら、同じ区内での移転でも定款の記載を変更してください。
本店移転登記の手続き・申請方法を解説
この章からは、実際に本店移転登記の手続き・申請のやり方を解説していきます。本店移転を行なった際は、自分に合った方法で速やかに移転登記手続きを行いましょう。
方法①法務局に行き自分で行う
1つ目は、法務局に行って自分で申請・手続きする方法です。
法務局内は市役所のように〇〇課などと細かく分かれてはおらず、申請や手続き内容によって番号等で窓口が分けられています。どの窓口に行けば良いか分からない場合は、受付に聞けばすぐに教えてくれます。
必ず提出する申請書などは、窓口に伝えることで用紙を渡されるので、その場で書けば大丈夫です。
Point!旧所在地(移転前)を管轄する法務局にて手続きする
法務局に行って自分で申請手続きする際は、移転する前の住所を管轄する法務局で行ないましょう。新しい住所の管轄法務局に行きがちですが、”移転する前”の法務局です。
法務局で直接手続きする時だけでは無く、郵送する時も同様です。この点は間違わないように注意してください。
方法➁パソコンからオンライン申請を行う
2つ目は、パソコンなどインターネットが繋がる媒体からオンラインで申請する方法です。
登記・供託オンラインシステムの申請用総合ソフトをインストール・ダウンロードする必要がありますが、オフィスや自宅に居ながら申請手続きが完了します。
申請書以外に議事録や委任状などの添付書類がある場合も、PDF化して保存しておいてオンライン上で送信します。
方法③司法書士に依頼する
3つ目は、司法書士に依頼してすべて任せる方法です。本店移転登記の申請手続きを、司法書士が代行すると言えば分かりやすいでしょうか。
書類も用意・指定されるので記載するだけで良いですし、手間をかけずに申請手続きが完了します。
しかし司法書士に依頼するとなると支払うべき報酬が別途発生し、その金額は司法書士によって異なるのが難点です。相場は大体3万円ほどと言われています。
管轄外への移転だとさらに1万円ほど+αされることが多いので、相談した時に必ず確認しておきましょう。
方法④「GVA法人登記」を利用する
最後は、「GVA法人登記」というサービスを利用する方法です。このGVA法人登記では申請の手続きをするのでは無く、法務局に提出する申請書をオンライン上で簡単に作成できるサービスです。
登記の知識が無くても、指定フォーマットに必要事項を入力していくだけで提出書類が完成します。
完成した書類は法務局への郵送用封筒と一緒に届くので、提出する法務局も間違えることは無く安心です。
\ 最短7分で作成 /
Point!合同会社で本店移転登記する際は利用不可
GVA法人登記で本店移転の申請手続きを行う場合、株式会社にしか対応していないので注意してください。合同会社などは対応していないのでGVA法人登記を利用することはできません。
登録免許税の支払い方法は3つ!
冒頭で説明した登録免許税の支払い方法について、3つの方法を紹介します。
支払い方法1.収入印紙で支払う(現金)
法務局で手続きする場合、登録免許税は収入印紙で支払います。収入印紙は法務局で買っても良いですし、郵便局やコンビニでも手に入ります。収入印紙の支払いは現金のみなので、注意してください。
申請書に貼り付ける場所があるので、買った収入印紙は所定の場所に貼り付けて提出しましょう。
ちなみにオンラインで申請しても、収入印紙での支払いが可能です。その場合は、受付(申請)番号を記載した登録免許税の納付用紙に、収入印紙を貼り付けて法務局へ持参もしくは郵送しましょう。
支払い方法2.電子納付で支払う
電子納付とは、いわゆるオンライン(ネット)バンクを使って振り込む方法です。本店移転登記の手続きをオンラインで行う場合は、電子納付で支払うのが一般的です。
ネットバンクを設定済みの口座を持っているなら、即振込されるのでおすすめです。もし開設していない人は、電子納付に対応しているATMから支払いましょう。
電子納付については、登記・供託オンライン申請システムに詳細な説明や注意点が書かれているので、事前に確認しておきましょう。
支払い方法3.クレジットカードで支払う
最後の支払い方法は、クレジットカードです。
GVA法人登記で登記申請手続きを行なった場合は、クレジットカード(デビットカード)での支払いのみ対応しております。手元に現金が無くても支払えるので便利です。
登録免許税を支払わないとどうなる?
最後に、登録免許税を支払わないとどうなるのか見ていきましょう。何か罰則などがあるのでしょうか。
商業登記法の決まりで登記申請が却下されてしまう
登録免許税を支払わないと、本店登記の申請自体が却下されてしまい受理されません。すなわち、本店を移転したのに新しい住所での登記が完了しないということです。
第24条
商業登記法第24条16項
登記官は、次の各号のいずれかに掲げる事由がある場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。
十六 登録免許税を納付しないとき。
罰金などを支払うわけではありませんが、移転したのに新たな住所での登記が完了しないのは問題です。必ず登録免許税を支払い、本店移転登記を行いましょう。
まとめ
本店移転登記の登録免許税は、次の通りです。
- 管轄内:3万円
- 管轄外:6万円
申請方法によって支払い方は異なります。
- 法務局で行う:収入印紙を購入して貼付する(現金での購入)
- オンラインで行なう:電子納付(ネットバンク)で振り込む
- GVA法人登記で行う:クレジットカードで支払う
支払いを忘れると、登記申請そのものが却下されてしまうので注意してください。
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