本店移転登記を自分で申請・手続きする方法|必要なもの・作成方法

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本店移転登記は、自分で申請・手続きすることが可能です。自分ですべて行うので、必要書類や作成方法などきちんと整理しておく必要があります。

そこで本記事では、自分で本店移転登記の手続きをするために何が必要か、どのように進めていくのかを分かりやすく解説していきます。

目次

[はじめに]本店移転登記が必要なのは「本店の所在地を変更する」時のみ

本店移転登記が必要なのは「本店の所在地を変更する」時

本店移転登記の手続きは、本店の所在地を変更する時のみ必要です。本店を移転したら、必ず手続きをしなければなりません。

第915条
1. 会社において第911条第3項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。

会社法第915条

本店移転登記時は登録免許税がかかる

本店移転登記を行う際には、登録免許税として3万円がかかります。移転する前の住所を管轄する区域内外への移転なら、新しい法務局へ登記する分と2ヶ所分の登録免許税、計6万円がかかります。

本店移転登記を自分で行なう際の必要書類

本店移転登記必要書類

本店移転登記を自分で行う際に、揃えるべき必要書類は下記6点です。

6種類の書類すべてが必要になるわけではありません。例えば、取締役会しか設置していなければ株主総会議事録は不要です。

本店移転登記申請書

本店移転登記申請書は、以下の書類を提出する際に、一番上に添付して提出します。

申請書は法務局の窓口で取得して記載しても良いですし、商業・法人登記の申請書様式ページ内にある本店移転申請書様式のPDFをダウンロードして印刷し記載して作成することも可能です。

Point!管轄外へと移転する場合は2枚用意する

本店を管轄外へと移転する場合には、本店移転登記申請書は2枚用意してください。移転前の住所を管轄する法務局宛の他に、移転後の住所を管轄する法務局と両方に提出する必要があるからです。

株主総会議事録(定款を変更する場合)

定款を変更する場合

株主総会議事録は、定款を変更する場合に株主を集めて開催・決議されたという記録の書類です。開催された日や場所・内容・参加者、議長の氏名や議事録の作成者などを記載します。

株主リスト(株主総会議事録を提出する場合)

株主リストは株主総会議事録を提出する時にのみ、用意してください。

取締役会議事録(取締役会を設置している会社)

取締役会議事録は、取締役会を設置している会社が取締役会にて本店移転の決議を行なった際に必要な書類です。取締役会を設置していなければ、取締役の過半数の同意を得たという証明書類を用意しましょう。

決められた様式が無いので、自分たちで作成したもので問題ありません。

印鑑届出書(管轄外移転時のみ必要)

印鑑届出書は、移転先が今までとは異なる管轄外の場合にのみ必要です。移転前の法務局で登録していた印鑑カードが使えなくなるので、新たに印鑑登録するために提出すべき書類です。

委任状

委任状

本店移転登記の手続きを代理人(司法書士)に依頼する場合は、必ず委任状も提出しましょう。

委任状に関してはほとんどの場合で、司法書士事務所で用意されているので、署名と印鑑を押印すればOKです。

本店移転登記申請書の作成方法を分かりやすく解説

本店移転登記申請書

この章では、本店移転登記に必ず必要な本店移転登記申請書の作成方法を、分かりやすく解説していきます。

法務省のページにも本店移転記載例PDFがあるのですが、少し見にくいので項目別に書くべきポイントも合わせて説明していきます。

本店移転登記申請書

管轄内の移転・管轄外の移転、どちらであっても必要なのが本店移転登記申請書です。記載する項目がたくさんありますが、1つずつ確実に記載していきましょう

会社法人番号

国税庁:法人番号公表サイト
国税庁:法人番号公表サイト

12桁で構成されている番号です。分からなければ空白でも構いませんが、国税庁:法人番号公表サイトで調べましょう。

商号

商号の欄には、会社名・社名を記載します。フリガナは全部に振る必要は無く、△△株式会社ならば△△部分のみカタカナでフリガナを書けば良いです。

本店

本店の住所の記載欄です。ここでは、移転する前の本店住所を記載してください。

登記の事由

申請書を出す理由を記載します。本店移転とそのまま書きましょう。

登記すべき事項

新たに登記する内容、すなわち移転後の住所と移転する日を記載します。

「令和●年●月●日 〇〇県〇〇市○○町△丁目△番地△号に本店移転」と、このように記載すればOKです。

もしくは、 「本店」〇〇県〇〇市○○町△丁目△番地△号 「原因年月日」令和●年●月●日移転
このように二段に分けて記載しても構いません。

要は、いつどこに移転したかが分かれば良いのです。

登録免許税

管轄内移転なら「金30,000円」、管轄外への移転なら「金60,000円」と記載してください。

添付書類

株主総会議事録や取締役会議事録・印鑑届出・委任状などがある場合は、書類の名称と何通添付するのかを記載します。「 ※株主総会議事録 1通」でOKです。

申請人

この欄は「移転後の会社の所在地」と、申請人は「会社名」を記載するので注意してください。その下に、代表取締役の住所と代表取締役名を記載します。

法務局

管轄外移転の場合は、移転した後の住所を管轄する法務局名を記載します。

以上で、本店登記申請書の作成は終わりです。割印も必要で、これは法務局の人に聞いて押した方が確実です。どこにどのように押すべきかを教えてくれます。

本店移転登記を自分で申請・手続きする流れ

本店移転登記を自分で申請・手続

本店移転登記を自分で申請・手続きする際の流れから確認しておきましょう。1ステップごとに何をすべきかまとめたので、目を通してください。

STEP
STEP①定款も変更すべきか確認する

法人(会社)を設立した時に作成した定款には、本店の所在地も記載してあるはずです。この定款を変更する必要があるかどうか確認します。

例えば本社は〇〇市内におく、という書き方ならば〇〇市内間での移転ならば定款を変更する必要はありません。本店移転の登記手続きのみ行えばOKです。

番地まで詳しく記載していた場合は、定款も忘れずに変更しなければならないので注意してください。

STEP
株主総会・取締役会を開催して決議する

本店移転に伴い定款も変更する必要がある場合には、株主総会での特別決議を開催してください。この決議で、株主の過半数が出席し、かつ3分の2以上の賛成を得なければなりません。

STEP
同意を得たら本店を移転する

株主総会・取締役会の決議で可決されて同意を得てから、本店を移転しましょう。

STEP
株主総会議事録もしくは取締役会議事録を作成する

本店を移転してから、第一章で説明した株主総会議事録や取締役会議事録などの必要書類を作成します。株主総会議事録を提出するなら、株主リストも忘れずに添付してください。

STEP
申請書を取得して手書きする

次に、本店移転登記申請書をダウンロード・法務局窓口に取りに行くなどして取得してます。直接申請書に記載するなら、前章の記入例を参考にしながら作成しましょう。

STEP
本店移転登記の申請を行なう

書類をすべて揃えたら、本店移転登記の申請を行ないます。どのように申請するのかを、次章で分かりやすく説明するので参考にしてください。

本店移転登記を自分で申請する2つの方法と費用

本店移転登記を自分で行なうには、次の2つの方法があります。

前章で説明した手続きの流れ「STEP6 本店移転登記の申請を行なう」の部分に当てはまります。それぞれの方法について、かかる費用も合わせて説明します。

方法①法務局に行って窓口で申請手続きを行う

1つ目は、法務局に自ら出向いて窓口で申請手続きを行う方法です。

窓口に行く手間や時間・交通費も発生しますが、何か不明な点があっても法務局の職員がその場で教えてくれるので確実に登記が完了します。

方法②オンラインで申請手続きを行う

2つ目は、インターネットを使ってオンラインで申請・手続きする方法です。

オンライン申請には、登記・供託オンラインシステムもしくはGVA法人登記などの代行サービスを使う、主に2つの方法が用意されています。

登記・供託オンラインシステム

託オンラインシステム
登記・供託オンラインシステムシステムと

インターネットが繋がるパソコンがあれば、自宅でもオフィスからでも簡単に申請できるサービスです。申請費用は無料で、登録免許税の支払いは電子納付(ネットバンク)で可能です。

参考ページ:登記・供託オンラインシステムシステムと

登記申請の代行サービス「GVA法人登記」

登記申請の代行サービス「GVA法人登記」

簡単に申請書が作成できる、司法書士が監修しているサービスです。本店移転登記申請書なら、1万円+税で作成が可能です。

しかしこちらのGVA法人登記はあくまでも申請書作成の手助けのみで、オンライン上での申請は不可能です。作成した申請書は法務局へ郵送するか自分で持って行きましょう。

難しいと感じたら司法書士に依頼する方法もある

会社法人登記手続きセンター
会社法人登記手続きセンター

自分で法務局に行き申請もしくはオンラインでの申請、どちらも難しい場合はすべてを司法書士に任せるという方法もあります。

オフィスの近くに司法書士事務所があれば依頼するのも良いですし、会社法人登記手続きセンターという、書類作成から法務局への提出まで一貫して行なってくれ、かつ全国どこからでもオンラインで申請が可能なサイトもあります。

全てお任せできるのが大きな利点です。

本店移転登記時の書類提出先と期限について

本店移転登記時の書類提出先と期限

本店移転登記に必要な書類はどこに提出するのか、またいつまでに行うのかの期限を確認しておきましょう。

書類はすべて“移転前の”法務局へ提出しよう

管轄内での移転・管轄外への移転、どちらであっても“移転する前の”法務局へ提出してください。

管轄外への移転の場合、申請書は(新法務局用へも)2枚必要とお伝えしましたが、この申請書もまとめて移転前の法務局に出して構いません。移転前の法務局から新しい法務局へと郵送してくれるからです。

申請期日は、移転が完了してから2週間

本店移転登記の申請手続きは、移転が完了してから2週間以内に行なってください。登記が完了するまでの期間では無く、あくまでも申請手続きを2週間以内に行う、という意味です。

本店移転登記を自分で行なうメリットとデメリットとは?

最後に、本店移転登記を自分で行うメリットとデメリットをまとめました。

2つのメリット

自分で行うメリットには、 次の2つが挙げられます。

それぞれ見ていきましょう。

最低限の費用で済む

自分ですべて行うので、登録免許税3万円もしくは6万円だけの費用しかかかりません。登記・供託オンラインシステムの利用料金は無料だからです。

後は交通費や、郵送するなら切手代くらいでしょうか。

窓口で行えば確実に手続きできる

法務局に行って手続きする場合は、どのように書くべきかなど疑問点を詳しく教えてくれるので、確実に手続きが可能です。書類の不備などでやり直しといったことも生じません。

また司法書士などプロに問い合わせる場合は料金が発生することもありますが、法務局で聞く場合は費用は一切かかりません。

2つのデメリット

自分で申請手続きを行うと、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

2つのデメリットを説明します。

添付書類の準備など思った以上に手間がかかる

必要書類の章でも分かるように、申請書以外にも様々な書類が必要です。

申請書は決められた様式に正しく書かなければなりませんし、議事録は決まったフォーマットが無いので自分で作成しなければなりません。

慣れている人ならばまだしも、一から自分で手続きするとなると思った以上に手間と時間がかかると考えていた方が良いです。

また本店移転してから2週間以内に申請登記しなければならないので、期日を過ぎないように注意が必要です。

頻繁には本店移転しないので費用対効果は微妙

2つ目のデメリットは、本店移転登記を自分で行なっても費用対効果は微妙であることです。なぜなら、本店の移転は何回も行うものではないからです。

自分で本店移転登記を行うと最低限の登録免許税の支払いだけで済みますが、一からやる手間と時間を考えると、そこまでコスパは良くないと言えるでしょう。

まとめ

本店移転登記を自分で申請・手続きするには、大きく分けて次の2つの方法があります。

  • 法務局に行って窓口で申請手続きを行う
  • オンラインで申請する

申請書が簡単かつ確実に作成できて、できあがった書類を持参もしくは郵送する「GVA法人登記」の代行サービスを利用するのが一番コスパが良いかなと思います。

自分で行うにもメリット・デメリットがあるため、状況や予算など様々なことを考慮して最適な方法で2週間以内に申請・手続きしてください。

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